心地いい時間

先日六本木にある入場料の必要な本屋「文喫」を初めて利用しました。(文喫は入場料として1,650円取られます。)   通常無料の本屋さんに入場料だけで1,650円払うのはもったいないなと思い、 いつも文喫の前を横目で見ながら通り過ぎていましたが、今回ものは試しと行ってみました。結果から言うと、入場料1,650円を支払う価値は十分にありました。

中にある本の品揃えは約3万冊で、大型書店の八重洲ブックセンター(蔵書150万冊)等に比べると少ないですが、選書に拘った品揃えで、普段目にしなかった本と出会えます。席はいろいろなタイプがあり、好きなところを選んで座ります。また中ではコーヒーが無料でおかわり自由です。(コーヒーはインスタントではなく、味はまともです)

中の使い方は、店内のいろいろな気になった本、雑誌を抱えて自分の席に戻り、コーヒーを飲みながら本、雑誌を楽しむといった感じで、今回は気がついたら8時間(13:30~21:30)も店内にいました。結果、いろいろなジャンルの雑誌、本をゆったりと読むことができたので、非常に心地いい時間となりました。店内にはカレー等のFood Menuがあるのもいいですね。結局その日は昼にトマトチキンカレー、夜に牛ほほ肉のハヤシライスを食べました。(8時間もいるとお腹が減るので、笑)

その日は非常に心地いい時間を過ごしましたが、これは紙の本を縦横無尽に快適にくつろいで読めたからだと思います。仮に同じ本、雑誌を電子書籍で読んだとしても、この心地よさは味わえなかったと思います。情報という観点では差のない電子書籍と紙の書籍。この2つの心地よさの差分にアナログの魅力のヒントがある気がします。リアルとバーチャルの魅力の差が大きい代表は自然だと思いますが、アナログとデジタルの魅力の差が大きいのが本、雑誌だと思います。近い将来、紙媒体は電子媒体にとって代わられるという見方が一般的ですが、私は逆に、近い将来紙媒体の魅力が最認識されるのではと推察しています。

新聞を読む場合、デジタルの画面だとピンポイントで必要な情報を入手しに行く感覚で仕事的ですが、アナログの紙の場合は、情報+αをいろいろな紙面を歩き回りながら入手している感じで遊び的です。その+αが何かはまだ解明できていませんが、確実にあるなと感じています。例えば日曜日の日経新聞には、真ん中の数頁の紙質を上質紙に変えた「NIKKEI The STYLE」という紙面が出てきます。その紙面の内容は最新トレンドを紹介する記事が多いですが、同じ紙面をディスプレイで読んでもその記事の良さが紙で読んだ場合の7割くらいしか伝わりません。感覚的には、ディスプレイで読むと2次元的な平面情報を理解しているのに対して、紙で読むとそれに深みが加わった3次元的立体情報を味わっている気がします。

さて、文喫で本を好きなだけ読みふけることにより心地いい時間を味わえたことから、この心地よさを自宅でも再現できないかと実験してみました。(この辺は理系的発想ですね。笑)

まず音です。iPhoneにSpotifyアプリをインストールして「Nature Sound」を検索します。すると、いろいろな自然の音のプレイリストが出てきますので、その中から自分の気に入ったプレイリストを選んでその音を流します。ここで大事なことはiPhoneから音を出すのではなく、部屋のオーディオ機器に繋いで音を出すことです。そうすることによって、部屋全体を環境音が包み込むようになります。

次に映像です。Youtubeで「4K自然」と検索すると、たくさんの4Kで撮影した美しい自然の風景動画が出てきます。その中で自分の気に入った映像をiMacで流しっ放しにします。ここで大事なことは、iMacからは音を出さないことです。iMacから映像と音が出ると、そこに意識が行き過ぎてしまい、バックグラウンド的な映像になりません。

次が香りです。ヒノキのアロマオイルを木材ピースに垂らして机の上に置き、かすかにヒノキの香りが部屋に漂うようにします。

最後が飲み物で、昼ならコーヒー、夜なら赤ワインを用意します。(但し飲みすぎないように、笑)

以上で、環境のセットアップは完了で、あとはソファに座って、お気に入りの本、雑誌を読みふけると、想定通り心地いい時間を味わうことができました。

何でも実験してみることは大事ですね。

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