悪ノリの勧め

3年以内に3割辞める

新卒3年以内に3割が転職するとよく言われています。最近の傾向のように語られることが多いですが、この3割という数字は昔からずっと変わらないことから景気変動や時代の変化によるものではなく、大部分は就活時のミスマッチが原因だと推定しています。(ミスマッチをなくす会社の選び方については、以前このサイトに会社の選び方「生け花剣山理論」というタイトルで書きましたので、そちらを参照下さい。)

では、辞めなかった(=ミスマッチではなかった)7割の人は順調に伸びるかというと、肌感覚としては順調に伸びるのはそのうち3割くらいではないかと感じています。(7割のうちの3割ですから全体の約2割ですね。)

つまり、順調に伸びる人:伸び悩む人:転職する人の比率は2:5:3という感じです。

自分にマッチした会社に入ったとしても、それだけで入社後の伸びが保証されるわけではないということです。

結局伸びる2割の人は、社会人となった最初の5年間に仕事の基礎力をつけた人だと思います。

仕事の基礎力とは

私の会社生活は新卒で入社した会社に最後までいましたので1社しか働いた経験はありませんが、理系的仕事、文系的仕事、国内の仕事、海外の仕事等いろいろな部署を転々とし、結局どんな仕事でも共通に必要な力(=仕事の基礎力)があることに気がつきました。それは次の3つの力です。

①何をやるかという課題を考え出す力

②その課題を解決するためには、どうすればいいかという具体的な方法を考え出す力

③どんな環境変化があってもGoal到達まで実行し抜く力

この3つの力を身につけると、自分で考えて自分でやることができるようになり成果も出るので、仕事がどんどん面白くなっていきます。但しこの力は実践を繰り返すことでしか身に付かないので、この3つの力を意識して、自分で実践し続けることが力をつけるためには必要です。

若い内に実践を繰り返すことによりこの仕事の基礎力を身につけると、仕事が面白くなりさらに自分で考えて自分でやるようになるので、またさらに力がついてもっと大きな仕事ができるようになるという好循環になっていきます。

仕事の基礎力をつける難しさ

この仕事の基礎力を付けようとしたときにハードルとなるのが、若いうちは何をやるかを自分で考える機会が意外と少ないという点です。特に大企業の場合は、何をやるかは上司が考えて指示が降りてきますので、どうやるかから自分で考える場面が多くなります。

やる気がある若手によく見られるシーンは、(言われた仕事はきちんとこなした上で)自分で考えた新しいアイデアを上司に提案してもなかなかやらせてもらえないという場面です。

通常は、新しいことをやる余裕があるのなら「次はこれをやって」とさらなる指示が上司から飛んできます。これは、若手の考える仕事の優先順位と、上司の考える優先順位が違うことから起こりがちなことです。(ここでやらせてもらえる上司についた人はラッキーと思って下さい。現実にはそんな上司は少ないです。) 

そして、自分はいいアイデアだと思って提案してもやらせてもらえないということを何回か繰り返すと、段々提案しても無駄だと思いアイデアを考えることすらしなくなります。

では、伸びる若手はどこが違うのかと観察したところ、上司から言われた仕事をこなしつつ、その仕事に関連する新しい提案を(上司にも了解してもらって)実行して、結果を出していることに気が付きました。上司も指示した仕事に関連する新しい提案は断りにくいものです。

この与えられた仕事に関連する新しい提案を「悪ノリ」と名付けました。

全くの独自提案の方がより面白い提案であったとしても、実行しなくては力はつきません。悪ノリは小さな提案であったとしても、実行まで持っていけるので力がつきます。また小さくてもいいので成果を出すと、信用の貯金が貯まっていきます。

この信用の貯金は後々効いてきます。同じ提案でも信用の貯金がある部下が言ってきた場合の方が上司としては任せやすいので、信用の貯金があると結構実行まで持っていくことができて、また力がつくということになります。そのため、この小さな信用の貯金を着実に貯めていくことが、結果的に力をつけるチャンスを増やすことに繋がります。

悪ノリの勧め

以上より、社会人になって最初の5年間に仕事力をつけるコツは、「悪ノリ」を勇気を持ってどんどんやることではないかと考えています。

ただ悪ノリをしようとすると、大きく2つのハードルがあります。1つ目のハードルは、悪ノリアイデアをどうやって閃くか。2つ目のハードルは、閃いたアイデアをどうやって実行まで持っていくかです。この2つのハードルは、コツさえつかめばひょいと越えられる若手は結構いると思いますが、なかなかそのコツをつかめないようです。分からない場合は、実際に「悪ノリ」をやっている先輩をロールモデルにして研究してみて下さい。いろいろとそのコツのヒントが見えてくると思います。

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