3年目の壁
社会人になって最初の5年でポテンシャルを発揮してどこまで成長できるか、それでその後の伸び具合が決まってしまう気がします。大器晩成という言葉がありますが、ビジネスの世界では例えば10年目で突然ブレイクして伸びるというケースは見たことがありません。
そのため若手には、社会人になって最初の5年間は一生懸命仕事をして力をつけることが大事だという話をよくします。この一生懸命仕事をするというのは、言われたことをただ頑張るだけではダメで、何をやるかを自分で考えるということが大事になります。
ただ最初の5年間にも節目があって、それは3年目と考えています。
というのは、1年目は周りの先輩方と比べて圧倒的に仕事ができないので、とにかく頑張るしかなく、特に意識しなくても一生懸命やると思います。
2年目になると仕事をする力が少しついてくるので、ホット一息、やや中だるみしがちです。ただ、まだ周りの人とは差があるので頑張れます。
カギとなるのは3年目と睨んでいます。流石に3年目となる、通常の仕事はこなせるようになるので、油断すると無意識の手抜きが始まります。そうすると、成長角度が傾いてきて5年経ったときに十分力がついていないことになり、せっかくポテンシャルは高いのにもったいないなということになりがちです。逆に3年目に一生懸命やり続けて上手く成長できた人は、その後の4年目、5年目も順調に伸びて、5年経ったときには仕事力を十分につけている気がします。
そこで、今回は社会人3年目に何を心がけるたら、この3年目の壁を乗り越えて、さらに成長を加速できるかについて思いつくことを述べたいと思います。
簡単なのは3年目で異動があり、全く新しい環境で知識もなく、一生懸命頑張るしかないという状況です。私の場合はラッキーなことにこの状況でした。ちょうど3年目になるときに工場から本社に異動となり、全く新しい仕事で新入社員に逆戻りした感じでした。仕事の質では勝負にならないので、量(時間)で結果を出そうと一生懸命やってるうちに3年目の壁は意識することなく越えていました。
では、異動がなかったらどうすればいいのか。転職するという手もありますが、それはお勧めしません。というのは、転職するにはエネルギーと時間が取られ、また転職先に慣れるのに時間がかかるので、とにかく力をつけるのが大事な3年目に目一杯できなくなるのはマイナスです。もちろん、入った会社が結果的に合わなかった場合は、早く(1年目でも)転職した方がいいです。合わない会社では頑張りがきかず、結果的に力が十分にはつかないので、そこで我慢し続けるのは時間の無駄です。
異動がなく、転職もしないとするとどうしたらいいのか? それは、自分で考えたことを自分でやってみることだと思います。3年目ともなると、仕事に余裕が出てくると思うので、上司から降ってきた仕事もやりつつ、自分で企んだことを仕掛けることができるようになります。ここでは、副業をやるのではなく、本業の中で新しいことを仕掛ける方が目一杯できるので力がつきます。密かにやるのではなく、上司にこれを実験的にやってみたいと話して、上司公認のもと自分で企んだことをやってみるのがお勧めです。(いわば、社内副業みたいなものですね。)
自分で企んだことをやると、通常の仕事より何故か力がつくので、成長する上で効率がよくなります。なお、このとき上司に話を通すときのコツは、実験と称してやることです。実験ならうまくいかなくて当たり前なので、期待値のハードルが下がって、上司も承認しやすくなります。
前段階の準備も大事です。それは小さなことでもいいので結果を出し続けることです。そうすると信用の貯金が溜まっていくので、成功する確率が低そうなことでも上司はやらせてくれる確率が高くなります。
自分のアイデアが通らないときは、アイデアが良くないからやらせてもらないと考えがちですが、実際はその人の信用の貯金が少ないので上司として怖くて任せられないというケースの方が多いと思います。
「信用の貯金」のもと「実験する」。この2つを知っておくと、力をつけるチャンスは広がると思います。