現代経済学と愛の不時着

「現代経済学の直観的方法」の最後に書いてある今後世界経済が縮退 (この言葉はこの本で初めて知りました) していくのを止めるための具体的ヒントが、実は西野亮廣さんのオンライサロンにあるのではと閃き、「愛の不時着」「梨泰院クラス」を視てそれを確信したというお話です。

この本は、最近NewsPicksで紹介されていたので読んだところ、予想以上に面白かったので紹介します。

この本の「はじめに」には『これ1冊を読めばとにかく経済なるものに関して大まかな粗筋だけはわかる手頃な本』と紹介してありますが、まさのその通りの内容でした。私はもともと理系人間ですので、経済は理系の対極の文系の世界の話ととらえて食わず嫌いしてきましたが、この本を読んで考えが変わりました。理系の人ほど読んだ方がよく、また面白いと感じると思います。執筆者の長沼伸一郎さんは物理学者ですが、数式で解説するわけではなく、まさに直観的に理解できる語り口で解説してあります。本当に分かっている人は、難しいことを分かりやすく簡単に説明できるものですが、この本もその典型的な事例だと思いました。

例えば、マクロ経済学の理論の中枢部である「Y(国民所得)=C(消費)+I(投資)」が直観的に理解できるように書いてあります。(最初の65ページを読んだだけで分かった気になります。笑)

そして読む人をその気にさせる次のような解説がしてあります。

『これが経済学全体を通じて最も理解しにくい部分で、経済学部の学生でもしばしば理解するのに何年も要するほどの難物である。』

第1章は60ページありますが、その最後にも、さらに読み進める気にさせる次のような解説がしてあります。

『この段階でとにかくその難所を乗り越えて、経済学の最大の基本をなすマクロとミクロの二つの重要な原理を一応は把握できたことになり、読者はもはや経済学の理解に関して、ある程度の自信を持ってよいと思われる。』

その気にさせるのがうまいですね。

この本のさらに凄いのが、最近の話題である仮想通貨とブロックチェーンの基礎についても直観的に理解できる解説がしてある点と、最後の第9章に未来向けての方向性のヒントまで記載してある点です。

最後の章には、今後の課題の本質をつく次のコメントがあります。

『もし貧困や環境問題をすべて解決した上で富を極大化し、資本主義社会が繁栄の極に達したとすれば、本当にわれわれは幸福のゴールに達するのかと問うてみた時、どうもそうではないということは、誰しもが感じることなのではあるまいか。』

『外面的な豊かさをいくら与えられても、想像力という酵素が不足すれば豊かさの中で逆に窒息してしまう』

『すべてを実際に手に入れて可能性が塗りつぶされ終わった状態よりも、まだ何も現実には手にしていないが可能性の中に莫大な資産が眠っている状態のほうが至福感に満ちている』

では、豊かになればなるほど感じるこの閉塞感をどう打破していくかという問に対して、人々が互いにジョイントしていけば解決するということが直観的に分かるように解説してあります。そしてジョイントしていくためには、「大きな物語」が必要という所で終わっています。残念ながら、本書では具体的な施策の提示まではされていません。

この最後の章を読んで閃いたのが、キングコング西野亮廣さんの運営されているオンラインサロンです。私も最近このオンラインサロンの会員になって中の様子がだんだん分かるようになってきましたが、このオンラインサロンは西野さんの考える世界観に共感する人の集まりで、いい感じの繋がり(ジョイント) がいたるところで生まれています。9月7日時点で有料会員数がついに7万人を越えました。現在あるオンラインサロンの中で断トツNo1の会員数となっていますが、これは西野さんの提唱する世界観を心地よく思う人が多いからだと思います。まだ会員となって1ヵ月ですが、皆で助け合うことが普通にあった古き良き時代と共通する良さがあるのではと感じています。

同じくこの1ヵ月にハマったのが、NETFLIXの「愛の不時着」と「梨泰院クラス」です。この2つは今年話題になっていましたが、視ると確かに面白く一気に全16話視てしまいました。(笑)

この2つのドラマの話は全く違いますが、何か共通する心地よさがある。それがハマる要因ではと感じました。私が心地よさの要因としてこの2つのドラマに共通して感じたのは、「真っ当なことをする」と「仲間を大事にする」という点です。これは現在の資本主義経済だと個人が競争に勝つために何をすべきかということが行動のベースになっていて、さきほど挙げた2つの価値観は「儲かることをする」「自分が1位になることを大事にする」という形に変わっている気がします。

本当は、真っ当なことをして、仲間を大事にしたいと考えている人が多いにもかかわらず、それでは現在の競争社会で生き抜いていけないジレンマに陥っているため、ドラマの中とはいえそういう世界を視ると心地いいと感じるのではと考えました。

西野さんのオンラインサロンの世界でも、この「真っ当なことをする」「仲間を大事にする」ということが当り前に行われていることが、ここまで多くの人を集めている要因になっているのではと思います。

多いといってもたかが会員7万人では世の中に影響力はないように見えますが。会費は月額1000円ですので、会費だけで年間約8億円入ってくることになります。これがほぼ全て活動費に投入されているので、年間8億円のプロジェクトと考えると大企業のプロジェクトとしても十分に成り立つ規模になります。

また、もし西野さんのような人が今後100人生まれると、単純計算で700万人の人が新しい価値観のもと動き出すことになり、世の中を変えるのに十分なインパクトを持つようになります。

西野さんような人は現時点では他にいないかもしれないですが、たった1人であってもロールモデルが実在すると、後に続く人は生まれてくると思います。(100m10秒の壁を破る日本人が1人出るとそれに続く日本人が次々と生まれたように) また、そうなってくると日本は今よりもっと元気になるのではと期待しています。

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