失敗の定義

若手と話していると、よく聞かれる質問に「仕事上の一番大きな失敗は何ですか?」というのがあります。いざ答えようとすると、結構唸ってしまって明確に答えることができません。もちろん今まで大きな失敗をしたことがないから答えられないのではなく、「失敗って何だろう?」と考え込んでしまうからだと思います。

仕事上の成功=「期待した成果が出た」、仕事上の失敗=「期待した成果が出なかった」と定義すると、過去に失敗したことはいっぱいありますね(笑)。でも、期待した成果が出る確率が90%以上ある案件が上手く行った「成功」と、10%以下の案件が上手くいかなかった「失敗」を比べると、「成功>失敗」かというとそうでもない気がします。

失敗にもいろいろとあり、ケアレスミスの失敗もあります。例えば、アポの日取りを間違える。最近もやらかしました。飲み会の開催日を1日間違えていて、正しい開催日の1日前に間違えてお店に行ったところ、偶然にも翌日の幹事の方が同じ時間に同じお店で別の飲み会を開催されていました。私は幹事の方を見つけて、何も疑わずに「遅れてすみませ~ん」と席に座ろうとしたのですが、「何か違う」と気が付きました。幹事の方以外は全員知らない人が座っている。一瞬何が起こったのか?と狐につままれた感じでした。(^^;)

こういうのは良くない失敗ですね。でも、成功確率の低い仕事に取り組んだ結果、期待する成果がでなかった場合は、良くないかというとそうでもないですね。なぜなら、やった結果だけを見ると「成果が出ていないのでやらない方がよかった」ことでも、その失敗の過程で学んだこと、閃いたことがあれば、やった価値はある(やってみなければ分からなかった)からです。

その場合は「失敗した結果」を責めるよりも、「チャレンジしたアクション」を褒めるべきだと思います。

よく「失敗を恐れずやってみろ」と挑戦することを後押してくれる上司がいますが、これは「ケアレスミスを恐れず、やってみろ」ではなく、「成果が出ないことを恐れず、やってみろ(仮に成果が出なくても、やる価値はあるから)」という意味です。

失敗しても価値はある。じゃあ気楽に失敗できるかというと現実的には難しいですね。仕事で、例えば2回に1回失敗しても許容してもらえるかというと、そんな会社はめったにないですね。

じゃあどうするか。私が心がけていたのは、失敗はしても大失敗になる前に、方向転換するというアプローチ方法です。上で述べた失敗の過程から学ぶことは、初期段階(例えば簡易プロトタイプを作ってみたとき)でも結構いろいろと出てきます。その段階で、このまま進んでいってもダメだというのは、なぜか大体当たりが付きます。(うまくいくという当たりは付きませんが。) そこで、取り組んでいた内容を全然違う方向へと舵を切ります。そうすると自分としては明確に失敗したというのは分かりますが、初期段階の失敗は周りの人には意外と気づかれないものです。

但し、成果につながる失敗の仕方にはコツがあります。

例えば、100回に1回成功する場合でも、数撃ちゃ当たる発想でたくさんチャレンジするのは良くない失敗の仕方です。1回目で失敗したことから、何かを閃き、それを元にして2回目にチャレンジし失敗、でもまた何かを閃いて、それを元にして3回目にチャレンジ、これを繰り返して99回目までは失敗し続けて、やっと100回目に成功するというのがいい失敗の仕方だと思います。別の言い方をすると、最初からいいアイデアは出るわけないので、思いついたアイデアを取り敢えずやってみて、やって初めて分かることを活かして次のアイデアに進化させる。これを繰り返さないと、いいアイデアにはたどり着かないと感じています。

なお、失敗しても、周りの人に失敗と気づかれない魔法の言葉があります。それは「実験として取り敢えずやってみます」と言っておくことです。つまり、周りの人に、失敗を繰り返しているのではなく、実験を繰り返していると思ってもらえれば気が楽になりますよね。(笑)

以上、普段「失敗」という言葉をあまり使わないなという素朴な疑問から思い起こしたことですが、考えてみると、実は「成功」という言葉もあまり使わないなということに気がつきました。おそらく、成功したとしても次のGoalが見えてくる(閃いてくる)ので、ここで終わりという感覚にはなかなかならないからなのだと思います。

以上、ビジネスには、実は「失敗」もないけど「成功」もないというお話でした。(笑)