リアルを超えたリアル
昨年12月からNHKの8K放送が始まりました。8Kになると4Kと比べても格段に高精細画面になるので、リアルで見た世界にかなり近づいてきます。例えば、4Kでは感じなかった奥行き感も感じるようになります。
では、リアルのアナログの世界はもうすぐデジタルで置き換え可能になるかというと、そう簡単ではない気がします。
東京ミッドタウンにあるフジフイルムスクエアで現在開催中の前田真三写真展(2019年2月28日まで)を見に行って、改めてそう感じました。展示してある写真はリアルのアナログ写真なのに、恐らく実際に見た風景以上にその景色らしい(見たときの感動まで写し込んである)に違いないと感じさせる写真でした。(今から約40年前に撮られた写真なので、デジタル処理されているわけではありません。)
展示してある写真を見て、プリントされた写真(アナログ)には、ディスプレイ上で見る写真(デジタル)では感じられない良さがあるなと思いました。情報量を比べると、今やデジタルはアナログを超えるレベルまで来ていますが、アナログには情報量の多さでは表すことのできない質的な良さあるのだと思います。
それまで知らなかったアーティストの作品を偶然美術館で見て、「これはいい、凄い!」と感じることがよくあります。今回見た前田真三さんの写真もこのケースに当てはまります。前田真三さんの写真と同じように、偶然出会って「リアルを超えたリアルだ」と感じたのが、最近だと七宝の並河靖之さん、木彫の平櫛田中さん、絵画の犬塚努さんの作品です。
前田真三さん、並河靖之さん、平櫛田中さんはそれぞれ作品を常設展示している場所があります。(それだけ有名アーティストでありながら、この歳になるまで知らなかったということですが、笑)
犬塚勉さんは常設館はありませんが、毎年どこかで展覧会が開かれており、ホームページにその情報が掲載されています。
また、NHKの日曜美術館で取り上げられたときの動画が次のYouTubeで見ることができます。
現在はリアル&アナログの世界からバーチャル&デジタルの世界に重心がシフトしつつある時代だと思いますが、将来はリアル&アナログの価値がなくなるのではなく、実はリアルを超えたリアル&アナログが出てきて、今よりアナログの存在感が増しているのではと考えています。