人情を感じる心地よさ
最近、ひょんなきっかけで落語の立川流に関心を持ちました。きっかけは、たまたま入った本屋さんで、立川志らくさんの書かれた「志らくの言いたい放題」を見つけて、面白そうだと買って読んでみたことです。本の中に、立川流家元である立川談志さんの弟子の育成スタイルがいろいろと出てきます。一見理不尽(今ならパワハラ)な育成スタイルですが、弟子は立川志の輔、立川談春、立川志らくと当代人気の落語家が育っており、その育成のうまくいっている秘訣は何かと興味を持ちました。
そこで、他の弟子の方の書いた本、「赤めだか」(立川談春)、「談志が死んだ」(立川談四楼)と立て続けに読んでみました。中でも「赤めだか」は立川談春さんが自分の弟子入りから真打ち昇進までを語った自叙伝で、落語家が成長していく過程を垣間見ることができます。
この3冊を読んで感じたのは、師匠立川談志の一見無茶苦茶に見える弟子への接し方(鍛え方)の中に、何か弟子への愛情が感じられることです。型にはまった人材育成方法とは全く違う、何か良さを感じました。
立川流が他の落語の流派と違ってユニークなのは、昇進基準が明確で、年功を加味しない実力主義なところです。二つ目昇進基準は、古典落語の持ち根多を50席、前座の必修科目である寄席で使う鳴り物を一通り打てること、歌舞音曲を理解していること、講談の修羅場を読めるための基本的な技術を積み理解することとなっています。また真打昇進基準は、古典落語の持ち根多100席と歌舞音曲ができることとなっており、ともにかなり厳しい基準となっています。昇進の可否は、家元(立川談志)の面前での試験により決まります。(「赤めだか」にはこの昇進試験のシーンも出てきますが、試験に望む弟子の極度の緊張感が伝わってきて、大変さがよく分かります)この実力主義だというところもいいですね。
立川流に関心を持ったことをきっかけに、最近YouTubeで落語をよく聴くようになりました。落語は一席40分程度ですので通勤途中に聴くとちょうどいい長さです。中でもよく聴くのが立川志の輔さんの新作落語です。YouTubeでたくさんの志の輔新作落語を聴くことができますが、みんな面白く、思わずホロリと感動することが多々あります。今死語になりつつある「人情」を感じる噺が多く、人情ってやっぱりいいなということを思い出します。いわゆる「心の琴線に触れる」という感覚を味わえて心地よくなります。
例えば次の噺どれも面白いですよ。(YouTubeで「立川志の輔 タイトル名」で検索すると聴くことができます。)
「歓喜の歌」
「親の顔」
「ディアファミリー」
「忠臣ぐらっ」
「踊るファクス」
「バスストップ」
「みどりの窓口」
「ガラガラ」
また、YouTubeの次のビデオを見ると立川志の輔さんの芸の凄さが分かります。
付録:立川流にはビートたけし他の芸能人を中心とするBコースというのがあり、そのBコースに所属していた放送作家の高田文夫さん(落語家としての高座名は立川藤志楼)が最近出された次の本も読みましたが、これも面白いです。
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