三感を研ぎ澄ます

1月1日付け日経新聞に、「わかり合う感性を忘れるな」というタイトルで京大総長の山極寿一さんのコメントが載っていました。(以下そこからの抜粋です。)

『人間の五感のうち、視覚と聴覚は科学技術で拡大され、仮想空間で情報が共有されるようになった。』

『五感のうち味覚、触覚、嗅覚の3つが人間の関係を築く上で大きな役目をしている。体を持たないAIにはこうした関係性を築けない。』

これは、テクノロジーがさらに進化する未来に、何が大切になるかを端的に表現されているなと思いました。

五感の内、視覚と聴覚が日常生活の中で一番駆使している感覚だと思います。また、視覚情報と聴覚情報については、現在既にコンピュータネットワークを使って遠隔地に届けることができます。しかし、味覚情報、嗅覚情報、触覚情報については、まだリモートで再現することはできません。(これができれば、おいしい料理をVRで味わうということも可能になりますが、その実現にはまだしばらくかかりそうです。)

普段はメインの情報ではない、味覚、嗅覚、触覚が人間の関係を築く上で大きな役目をしているというのは、面白い視点です。視覚情報、聴覚情報のようなメインの情報ではないからこそ、その人らしさを表すカギになるのではないか。私は何となくそんな気がしています。

味覚、嗅覚、触覚情報がこれから重要になるとすると、これから重要になるキーワードとして、「美味しい」、「心地いい香り」、「心地いい手触り」などが浮かんできます。ラッキーなことに、これらは高いお金を使わなくても、日常の生活の中で味覚、嗅覚、触覚を研ぎ澄ましていけば味わえるものです。

昔、博報堂こどもごころ製作所の「クラヤミ食堂」というイベントに参加したことがあります。これはアイマスクをして真っ暗な中で食事をするという体験型イベントでした。面白かったのは、視覚を塞ぐと他の感覚を自然と研ぎ澄ますようになったことです。(出された見えない食べ物を、食べる前に思わず手で触ってみたくなりました。)そして約2時間くらい視覚無しで食事をしていると、最後には隣の人の気配も感じられるようになり、まるで今まで封をしていた第六感が甦ったような気がしました。

つまり、味覚、嗅覚、触覚を研ぎ澄ますためには、日頃からこの3つの感覚を意識する必要があります。あいにくこの3つの感覚はスマホに接していても味わえない感覚なので、脱スマホの時間を持つことも大事になってきます。iPhoneを常時使っている私にとって、このハードルはかなり高いですね。(笑) でも何とか実現して、味覚、嗅覚、触覚の三感を研ぎ澄まし、それらの情報に接したときに今まで以上に感動できるようになると、日常がどんどん幸せになっていくと思います。

そういえば、糸井重里さんの有名なキャッチコピーに「おいしい生活」というのがありました。(笑)