好奇心の時代

私は、ビジネスはいつの時代も誰かを幸せにすることだと考えています。これはBtoCのビジネスのみならずBtoBのビジネスであっても同様だと思います。

最近、このビジネスの幸せのターゲットが変わりつつあると感じています。今までは、どちらかというと不便なことを解消すること、言い換えればマイナスを無くしていくことがビジネスのメインターゲットだったと思います。そこをターゲットとして成功したビジネスの典型がiPhoneだと思います。iPhone以前と以後で何が変わったかというと、いろいろな点で便利になりました。言い換えると、たくさんの不便が解消してきました。例えば、「インターネットがどこでも見られる」「地図がなくても目的地にたどり着ける」「電車の乗り換えの最適な経路と時間が分かる」等々たくさんのことが便利になりました。

2014年に発表された、テクノロジーの進化で便利になったことを示す面白いビデオがあります

「the evolution of the desk by the harvard innovation lab」

これは、1980年当時デスクの上にあったたくさんのモノ(カレンダーとか辞書とか)が、2014年には全てラップトップパソコン+携帯電話に収まってしまったことを示すショートビデオです。

時代はさらに進化し、いまやそれらは全てスマホの中に収まっています。そしてもう机の上にモノは残っていません。(つまりパソコンすら必要なくなりました。)このことは、不便なことがほとんど解消してしまった今の時代を象徴していると思います。

不便なことがほとんどなくなっているというのは、自分のiPhoneの買い替えサイクルを見ても分かります。私が初めてiPhoneを購入したのは2009年で機種はiPhone3GSでした。以降、2010年にiPhone4、2011年にiPhone4S、2012年iPhone5、2014年iPhone6Plus、2017年iPhoneXと買い替えサイクルがどんどん長くなってきています。これは、新機種への買い替えの魅力(=買い替えにより解消される不便なこと)が少なくなってきていることが原因です。

不便なことを解消すれば、確実にビジネスとして成り立ちます。つまり不便なことがたくさんあったこれまでの時代は、Goalは見えていて、そこにいかに早く、いかに安くたどり着くかがビジネスの成否を分けるという構造でした。

でも、不便がほとんど解消したこれからの時代は、「新しい幸せとは何か」についてのGoal設定から始めなくてはなりません。言い換えるとマイナスを無くしていくことがメインの時代から、プラスを創っていくことがメインの時代に変わっていくことになります。

そうすると、必要な人材の要件も変わってきます。いままでの時代は、答えがあると分かっていることを効率的に解答までたどりつくことができる、いわば大学受験に強いような人が必要でした。一方これからの時代は、答えそのものを発見、発明する人が必要となります。

現在の大学受験で強いのは、いわゆるマニュアル力の高い人です。では、答えそのものを自分で発見、発明するのに必要な能力は何でしょう? 私は好奇心の強さだと考えています。何かに対して強い好奇心がある人が、それが原動力となって、今まで誰も気が付かなったことを発見したり、誰も思いつかなかったことを発明するのだと思います。

私は、これからの時代、必要とされる能力の優先順位が「マニュアル力が高い人」から「好奇心が強い人」に移っていくだろうとみています。

そうなると、子供の教育の仕方や社会人の育成の仕方も変わっていくと思いますが、そのヒントとなることがたくさん書いてあるいい本を見つけました。

落合陽一さんが書かれた次の本です。

以下、この本の中からの抜粋です。

『しかし実は、この「偏りがある」ことこそが、これからの時代においては価値が高く重要なのです。教育によって身に付いた能力は標準化されているため、社会の中で埋もれてしまいがちです。それに対して「自分はこれがやりたい」と望んで経験を積んだ結果得られた、偏りのある能力は、そこに持続的なモチベーションが加わることで、掛け算となって100倍、200倍の成果として表れてくるのです』

『高いモチベーションはオリジナリティを生み出す原動力になります。』

『人間のモチベーションを喚起するきっかけとなるのは「好きなこと」「やっても苦にならないこと」です。』

『自分がやりたいことを本気でやってる人にしか生み出せない価値があることに気づかされます。』

『「やりたいことがある」ということ自体が、既にひとつの価値であるとも言えます。』

『今後の社会で生き抜くためにも、やりたいことを見つける嗅覚を大事にして、やりたいことの中から「今できること」を探し、リスクを取ってでも実行する力を身につけたいものです。』

『大事なのは、自分は何が好きなのかを常に考え続けること。ずっと続けていられるような好きなことを仕事にし、高いモチベーションを維持しながら働ける人は、他の人にはないオリジナリティを発揮できるため、これからの社会で生き残り続けるでしょう。』

いくつになっても好奇心を持ち続けることが大事ですね。

この本の第2章に「落合陽一はこう作られた」という、幼少期〜現在に至るまでの落合陽一さんの作り方の具体事例が載っています。好奇心の強い人を育てるヒントがいろいろと詰まっていて面白いですよ。

ところで、私は好奇心の強い面白い人を「変な人」と呼んできました。これからの時代「変な人」が必要になると思いますが、今年、どうやったら「変な人」を作れるのかについて自分の考えをまとめた本を出す機会に恵まれました。

「変な人」の作り方に関心のある方は、ぜひ読んでみて下さい。最後は本の宣伝でした。(笑)